支部長挨拶

日本消化器内視鏡学会北海道支部長就任の挨拶

勝木支部長の顔写真 北海道支部長 勝木 伸一

この度、前支部長・山野泰穂 先生の後任として2022年6月より日本消化器内視鏡学会北海道支部長を仰せつかりました公益社団法人日本海員掖済会小樽掖済会病院副院長の勝木伸一です。

日本消化器内視鏡学会は、今から60年ほど前の1959年(昭和34年)6月に発足した日本胃カメラ学会を起源とする由緒ある学会です。北海道支部も本部に遅れること4ヶ月、1959年10月に創設されております。支部長には故並木正義先生はじめ多くの著名な諸先輩が名を連ね、近年では加藤元嗣先生、斉藤裕輔先生、山野泰穂先生と全国区に知名度のある先生方が歴任されてきました。

私は、奇しくも、北海道支部が、創設された同じ年1959年にこの地、北海道に生まれました。不思議な巡り合わせでございます。医学部学生時代、消化器癌治療に興味を持ち、卒業後は癌研究を志ざし精進いたしました。研修中、多くの先輩方から、癌の早期診断の大切さを教わりました。その中でも内視鏡診断の素晴らしさに魅了され、以来、私の主な仕事場は、内視鏡室となった次第です。
現在、内視鏡分野の進歩には目を見張るものがございます。カプセル内視鏡やバルーン内視鏡が開発され、今や全消化管を観察できる時代に変わりました。

また拡大内視鏡も改良され、細胞の核を直接観察可能になる精度を得たことで、病理との正確な対比が可能となりました。さらに、Artificial intelligence (AI, 人工知能)の開発により、いままで、医師のスキルによってばらつきのあった消化器癌診断の均てん化が実現されつつあります。

治療手技もポリペクトミーから内視鏡的粘膜切除術(EMR),内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、そして腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)に代表される全層切除術へと変化しています。このように新しい機器や手技が開発されることにより、これまで稀であった疾患との遭遇も増えますし、また、既知の病変に対する考え方、治療法も変わることが予想されます。したがって 私たちは、これらのmodalityを使いこなし、適切な診断、治療を行えるように日々努力する必要がございます。そこで北海道支部として、

(1)未来を担う若手内視鏡医の育成を図る。
(2)新しいmodalityを活用した症例検討会を充実させる。
(3)基礎と臨床の交流を促進する機会を提供する(いわゆるtranslational research)。
(4)世界に先駆けた先進的な臨床研究を北海道から発信する。

を目標に掲げたいと考えます。

私は、北海道に生まれ、この地に働く医師のひとりとしての誇りを大切にしています。
私は、かつての先人たちが揺るぎない開拓精神を持ってこの地北海道を発展させたように北海道の内視鏡医学発展のために尽力したいと思います。

みなさまどうぞよろしくお願い申し上げます。

2022年6月
日本消化器内視鏡学会北海道支部
支部長  勝木伸一