2024年8月13日
質問:男性で育児休業を取得される方はまだ少ないと思いますが、育児休業を取得しようと思った理由や思いがありましたら教えてください。
かつては男性医師に育児休業を取得する選択肢がほぼなかった現状があったかと思いますが、近年では当院全体として、育児休業をとられる男性医師が散見されるようになった背景があります。 その上で同消化器内科グループ内でも散見されるようになり、同グループの上司が近い時期での育児休業取得を予定しており、僕自身も取得を提案されたことで、自分にも育児休業取得の選択肢があるのだと思ったのが経緯です。 妻と相談し、貴重な子供の幼少期の触れ合いや夫婦での育児労力の分散を理由に取得させていただきました。
質問:実際に育休を取得することを上司や同僚の医師に伝えたときに、どのような反応がありましたか。また奥さんの反応はいかがでしたか。
上司、同僚から提案されたこともあり、共感的・賛同的な意見が多くありました。 また今後育休取得を検討されている同僚からは、「今回の育休取得によって、今後自分らの育休取得もしやすくなるから」との後押しもありました。
ただ、昨年度に育休取得されなかった先生へお伝えした際には心苦しい相談となりましたが、「自分は時期が悪かったので、気にしないでください」とのお心遣いをいただきました。
妻は僕同様に、これまでの男性医師の状況から、男性医師の場合には育児休業取得の資格はあっても取得できないのが現状、と認識していたため、今回の育休取得をとても喜んでいました。
質問:男性医師が育児休業を取得することにハードルがあると感じますか。
正直な印象としては、あると思います。ただ職場環境にもよるかとは思います。
当科当グループでは、夜間・休日の当番を4名(男性医師+独身女性医師)でほぼ行なっている現状があり、一回に2名準備する必要があるため。頻度としては約2日に1回の夜間・休日当番/待機をしている状況となります。
そのため、男性医師が臨床から1名欠員となると、夜間・休日当番/待機について更なる負担が追加されてしまうからです。
一方、既婚女性医師などではすでに夜間休日当番は免除される勤務形態であることが多く、また妊娠中は法的に当直などの夜間勤務が困難とのことから(かつての同グループ女性医師よりご教授いただいた)、産休・育休となった場合の男性医師の負担はそこまで変わらない現状があります。仕事上での周囲への影響からは、ハードルは男性医師より幾分低いものかと思います。
ただ男性医師や夜間休日当番可能医師が多数在籍しており、1名欠員での負担が少ない職場環境ですと、ハードルは下がるかと思い、職場環境によるかと思います。
質問:育児休業中の生活において、ご夫婦内での家事育児の役割分担はどのようにしましたか
第一子でお互いに初めての経験だったので、基本的には何事も一緒に行い、助け合うといった形で明確な役割分担はあまりなかったかもしれません。
ただ完全母乳での育児だったため、それ以外を極力できるように努力したつもりです。
質問:育児休業を取得してよかったことがありましたら教えてください
赤ちゃん時期は短期間ですぐに成長と変化を繰り返し、必要な対応も早く変わっていく印象がありました。その赤ちゃんの時期に触れ合えた経験と大変な時期に夫婦で労力分散できたことがよかったかと思います。
質問:職場復帰に際し、仕事や家庭のことで何か不安に思ったことがありましたら教えてください
仕事については、少なからずブランクがあったことになるため、以前と同じように手技などできるのか不安は少しありました。
家庭については、僕の帰宅が夜になってしまうため、妻の方が一人での育児となることに不安が強かったようでした。
質問: 次お子さんが生まれたら育児休業をまた取得しますか。
可能であれば、ぜひ取得したいと思っています。
2人目となると、1人目の子供がいることで環境が異なるため、1人目の時のように赤ちゃんの育児のみをすればいいわけではなく、また違う大変さがあると思うからです。
最後にこれから育休を取る可能性のある男性医師に対して一言お願いします!
かつては資格があっても現実的には取得できなかった男性医師の育休が、時代の変化もあり取得が可能となってきた現状があるかと思います。
また、かつては男性医師の妻は、家事育児はワンオペになってしまうことが当たり前、仕方のないことと了承、覚悟を持って結婚されていたと伺いましたが、近年ではそのような結婚形態を了承、承認できる女性は多くはないのかと思います。
(様々な休暇形態があり、職場内では)お互い助け合って成り立っているのだと思って、自身の家族のために勇気を持って進言してみてください。